少年漫画、特に少年ジャンプを見ればわかるけれど、大成功をおさめた作品の主人公には必ず強力なライバルがいる。

ジョジョにはディオがいるし、大空翼には日向小次郎、風吹裕矢には早瀬左近(古いなw)といった具合。ジョーには力石やカーロス・リベラがいて(ますます古いかw)、星飛雄馬には花形満がいる(もうやめよう)。

つまり、物語を盛り上げるには、強いライバルとの戦いを描くことが一番手っ取り早い。それも、すぐに戦わせるのではなく、彼らそれぞれの挑戦をドラマティックに描きながら成長させ、佳境に入ってから戦わせる(一方が先に死ぬことで主人公の孤独な戦いに別のドラマを与えるときもある)。

逆に言うと、ライバルがいないとドラマにならないわけだ。

同じように、スタートアップにもライバルがあったほうが盛り上がる。投資家も注目しやすいし、市場の可能性を意識しやすいから投資熱も高まる。最近の日本の事情でいうと、ランサーズとクラウドワークスは分かりやすい。また、BASEとSotres.jpの無料ECサービス同士の戦いは、Yahoo!ショッピングの無償化戦略への転換もあって、市場全体にインパクトを与えたといっていい。(矢吹丈が力石徹との戦いを経て、やがて最強のホセ・メンドーサと戦うことになるという図式そのままだといえるね)

そして今一番熱いのは、グノシーとスマートニュースの、ニュースキュレーションサービスのマッチレースだろう。グノシーは臆面もなくUIをスマートニュースに寄せてきて(褒めてます)、IT系のアーリーアダプターではなく、一般層のユーザートラフィックをとりにかかってきた。そのためにKDDIから12億もの巨額の資金を集め、ウルトラマンを使ったテレビCMまで仕掛けてきている。(まあ、日本のスタートアップ事情も変わったというか、だいぶ大きな資金を動かせるようになったものだ)

ちょうどテレビではペプシが、完全にコカコーラを意識した比較広告や、小栗旬を起用してコカコーラを鬼、自分たちを桃太郎に例えたCMを打ち出して話題になっているが、今回のグノシー対スマートニュースのマッチレースもまた大きな話題としてソーシャル界隈をにぎわすだろう。

どうしても起業家は全くのフロンティアというか、ブルーオーシャンを探そうと考えがちだが、誰もいない荒野で自分だけを目立たせるのは至難の業だ。

つまり、少しは強そうなライバルがいる市場に突っ込んで、投資家やユーザーの目を引くことも大事ということだ。誰もいない市場を切り開くのは、十二分な資金を集めてからにすべきだね。これは、ほんとに大事なことだ。

 

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